アクセスカウンタ

プロフィール

ブログ名
ANALIZER
ブログ紹介
zoom RSS

自民9条改憲案 明快な条文へ熟議が必要だ

2018/04/01 07:07
20180325

産経新聞
2018.3.25 05:02更新
【主張】
自民党改憲案 「自衛隊明記」を評価する

(1/2ページ) .
自民党憲法改正推進本部が、党独自の改憲案について、戦力不保持などを定める9条1、2項を維持しつつ、新たな条項「9条の2」で自衛隊の保持を明記する方針を決めた。

党総裁である安倍晋三首相が提起した加憲案に沿った内容である。

25日の党大会へ報告した上で緊急事態条項など他の項目と併せて条文を作り、他党や国会の憲法審査会に示す段取りだ。

憲法改正の急所となる「9条」をめぐり、自民党が自衛隊明記の方針を決めたことを評価したい。安倍首相をはじめ自民党議員は、改正の必要性を国民に対して積極的に説いてもらいたい。

防衛力を整え、侵略者から国民を守り抜くことは国の最大の責務である。だが、現憲法にはそのための規定が欠落している。むしろ、9条を旗印に多くの憲法学者らが自衛隊違憲論を唱えている。防衛力をひたすら忌避する空想的平和主義がなお存在する。

つまり、9条は日本の安全保障政策と論議の水準を低め、国民の安全を損なってきたのである。

憲法に明記すれば、自衛隊違憲論は否定できる。国の重要な役割である平和の追求に、防衛力が欠かせない点も明確となる。

(2/2ページ) .
北朝鮮や中国の脅威は現実のものとなった。国民を守る任務に黙々と当たっている自衛隊員を、国民が後押しすることが、今ほど大切なときはない。

それには、国民投票によって憲法を改め、自衛隊を明記することがふさわしい。自衛隊員の士気を高め、国民の防衛意思を示すことが抑止力を向上させる。

理想としては戦力不保持の9条2項を削除し、自衛隊を名実共に世界標準の軍に改めるべきだ。だが、公明党を含め他の政党の安全保障への意識とは乖離(かいり)がある。まず、改革の第一歩として自衛隊明記を実現する意味はある。

推進本部が挙げた条文案は煩雑で、自衛隊や自衛権の制約を固定化しかねない。これは9条由来の誤った発想といえよう。

当初案にあった「必要最小限度の実力組織」との表現を取り下げたのは正しい。国民を守る自衛隊の整備や行動を阻害しかねない表現だった。現行案の「必要な自衛の措置」の表現も、範囲をめぐり神学論争を招きかねない。

自衛隊の規定は、できるだけ簡潔にするのが肝要である。
引用終わり
*************

日経新聞
社悦
問題残したままの自民の自衛隊明記案
社説 2018/3/25付

戦後政治の最大のテーマである憲法9条をめぐる意見の対立は、自民党の中でさえ、やはり簡単にケリがつくものではなかった。

党の憲法改正推進本部は、9条1項・2項はそのままに9条の2に追加して自衛隊の存在を書き込む案で細田博之本部長への一任を取りつけたものの、25日の党大会を前に、反対論を押しきるかたちの見切り発車だった。

憲法への自衛隊明記は昨年5月、安倍晋三首相が提案したものである。自衛隊違憲論を封じ込めるのがねらいだ。現行憲法はそのままに新しい条文を書き加える加憲論の公明党に配慮、実現可能性を優先した案でもある。

こうした現実主義的で政治的な改憲論に、法律的な筋論から異論を唱えたのが石破茂氏らである。

9条2項の「戦力の不保持」と「交戦権の否認」を削除しなければ戦力とは何か、否認した交戦権の意味は何かといった議論が続き、自衛隊の存在を含め、どこまでいっても9条問題は決着しないという考え方だ。

2012年の野党当時の自民党の改憲案がそうだったが、これからもこの議論を引きずるのは避けられない。9条2項のくびきは残ったままだ。

次の問題は、自衛隊の活動や自衛権の範囲はどこまでかという解釈論である。

議論の最終段階で実力組織としての自衛隊の範囲について「必要最小限度」としていたくだりを不明確だとの反対論を受けて削除した。自衛権に言及すべきだという意見も踏まえ「必要な自衛の措置」という表現に変更した。

しかしこれは同じことである。その範囲がはっきりせず、集団的自衛権の行使の問題などこの議論が続くのも避けられない。自衛の範囲をめぐる解釈論のくびきからも逃れられない。

もうひとつ指摘しておかなければならないのは、首相が自衛隊明記でも解釈は変える必要がなく、国民投票で否決されても自衛隊合憲に変わりはないと説明している点だ。これでは何のための自衛隊明記なのか訳が分からない。

ただ首相の問題提起は9条について考えるうえで意味があったのはたしかだ。この先は単に9条の条文の字句にとどまらず、日本の安全保障のあり方を含め、自衛隊の運用の枠組みを定める安全保障基本法の新設もセットで論議を進めていくべきではないだろうか。
引用終わり
************

20180324

読売新聞
社説
自民9条改憲案 明快な条文へ熟議が必要だ
2018年03月24日 06時45分

日本の安全保障を担う自衛隊の存在を明記しようとする重要な憲法改正である。自民党は分かりやすい条文案を早期にまとめ、国民の理解を得る努力を尽くすべきだ。


自民党の憲法改正推進本部は、9条1項、2項を維持し、自衛隊の根拠を定める「9条の2」を新設する方向で一致した。

国民の安全確保などを目的とし、「必要な自衛の措置」を取るための「実力組織」として、自衛隊の保持を明記する。

自衛隊に対する首相の指揮権と、活動に際しての国会承認など「文民統制」も盛り込む。

自衛隊に違憲の疑いが向けられかねない状態は解消する必要がある。自民党が改憲案のとりまとめに向けて、議論を重ねてきたことは評価できる。

執行部は当初、自衛隊に関する政府解釈を踏まえ、「必要最小限度の実力組織」との定義を盛り込んでいた。だが、党内から「理解しにくい」などの異論が相次いだため、修正した。

憲法の条文が従来の政府解釈に縛られる必要はない。ただ、戦力不保持を定める2項を残せば、自衛隊が「戦力」に当たるのか、という長年の不毛な議論に終止符は打てないことが懸念される。

執行部案にある「自衛の措置」は、集団的自衛権の全面的な行使を意味するのかどうか、今後、議論が続くだろう。

石破茂・元幹事長は、2項を削除し、「陸海空自衛隊」を保持する案を主張した。「軍隊」との位置付けを明確化するものだ。

「戦力」との整合性は問われず、あいまいさがない。

一方、現行解釈の撤廃であり、防衛政策の全面的な転換と受け取られかねない。国民の理解を得るのは容易ではないだろう。

党内の一任を取り付けた細田博之本部長は、石破氏らの案を含めて他党との協議で示すという。

意図や効果が異なる複数の9条改正案を示せば、混乱を招き、合意形成の妨げになりかねない。自民党案の一本化は欠かせない。

安倍内閣は、学校法人「森友学園」に関する決裁文書の書き換え問題で苦慮している。

公明党や憲法改正に積極的な日本維新の会にも、「改憲論議どころではない」として、及び腰な姿勢がうかがえる。

憲法のあり方は本来、政局とは切り離して論じられねばならない。各党は、9条に関する見解をまとめ、衆参両院の憲法審査会で、建設的な議論を深めるべきだ。

2018年03月24日 06時45分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
引用終わり
************


朝日新聞
(社説)憲法70年 災害で改憲の危うさ
2018年3月24日05時00分

自民党の憲法改正推進本部が、大規模災害に備えるための「緊急事態条項」を新たに設ける改憲条文案を固めた。

なぜ災害対応に改憲が必要なのか。疑問がぬぐえない。

一時的にせよ内閣に権限を集め、国民の権利を制限する。憲法に縛られる側が、その縛りを解くよう求めることの意味は慎重に考える必要がある。

内容は、内閣の権限強化と議員任期の延長の二本柱だ。

大災害が起きた場合、内閣の判断で、法律と同じ効力を持つ政令を定められるようにする。国会議員の任期を、衆参各院の出席議員の3分の2以上の賛成で延長できる特例を設ける。

ただ、改憲しなくても、緊急時の対応はすでに災害対策基本法などに定められている。

阪神大震災や東日本大震災を経て災害対応の法整備は進み、災対法も改正が重ねられた。

確かに、災害対応に万全はない。法に不備がないかは平時から国レベルで点検すべきだ。

同時に、住民保護の前線に立つ自治体がいかに被害を抑え、行政機能を維持するか、法を理解し、訓練を重ねることが重要だ。東日本大震災の被災自治体の多くは、政府ではなく自治体主導の災害対応が重要だと考えているとの調査結果もある。

しかし、自民党の議論は場当たり的だ。

2012年にまとめた党改憲草案は、緊急事態の対象を大災害に加え、「武力攻撃、内乱などによる社会秩序の混乱」と幅広く規定していた。これが「乱用の危険がある」と批判されると、内閣の権限強化を省いて議員任期の延長特例に絞る案が浮上。今度は党内の反発を浴び、災害対応に限って内閣の権限強化を復活させた。

うかがえるのは、災害対応を名目にした「改憲ありき」の発想である。

国会議員の任期延長特例も必要とは言えない。憲法54条には衆院解散時の参院の緊急集会の定めがある。仮に災害時に衆院が解散していても、参院による立法機能は維持できる。

何よりも優先すべきは、国民が選挙権を最大限に行使できるよう備えることである。

被災者が避難先の自治体で投票できる制度づくりなど、災害時でも可能な限り選挙が行えるよう公選法改正を求める日弁連などの動きもある。

災害対応のために改憲は要らない。

憲法を改めれば安全・安心につながるかのような議論は、災害への備えをおろそかにしかねない危うさをはらむ。
引用終わり
*************


朝日新聞
(社説)憲法70年 ずさん極まる9条論議
2018年3月23日05時00分

これが戦後日本の平和主義の根幹をなす9条を改めようとする議論のあり方なのか。そのずさんさにあきれる。

自民党の憲法改正推進本部が、戦力不保持と交戦権の否認をうたう2項を維持したうえで、自衛隊を明記する改憲案を取りまとめる方針を決めた。

安倍首相が提唱する案に沿った内容と言える。

今後の扱いを一任された細田博之本部長は、自衛隊の定義として書き込むことが有力視されていた「必要最小限度の実力組織」の表現を削り、「必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、自衛隊を保持する」との条文を加える案を選ぶ意向を表明した。

根本的な疑問がいくつもある。そもそも歴代内閣が合憲と位置づけてきた自衛隊を、憲法に明記するための改憲に、どんな必然性があるのか。

首相は自衛隊を明記しても「何も変わらない」と言うが、そんな保証はどこにもない。安倍政権は、歴代内閣が憲法上認めなかった集団的自衛権の行使を、一内閣の閣議決定によって容認した過去がある。

自衛隊が衆参両院や裁判所などと並ぶ機関として憲法に明記されることにもなる。防衛省より憲法上の位置づけが上になることが、自衛隊の任務と権限の拡大や防衛費の増額に影響を及ぼさないと言えるのか。

こうした疑問について党内で詳細に検討した形跡はない。

「必要最小限度の実力組織」という文言を削ったのは、25日の党大会までに党内の反対論を封じ込めるための対症療法に過ぎない。

この文言があろうがなかろうが、どこまでが必要最小限度なのか解釈の余地が残り、法律次第で自衛隊の任務と権限が広がる可能性は変わらない。

改憲より先に、政治がいま最優先すべき課題は他にある。

森友学園をめぐる財務省の公文書改ざんは、立法・行政・司法が相互にチェックし、均衡をはかる憲法の基本原則を侵し、民主主義の土台を壊した。

この目の前の憲法の危機を正すことこそ、与野党を超えた立法府の喫緊の課題である。

改憲には多くの政党の熟議と国民の理解が不可欠だが、連立パートナーの公明党を含め多くの政党が、いま改憲を急ぐことには否定的だ。

自民党はそれでも、首相が掲げる2020年の新憲法施行に突き進むのか。付け焼き刃の改憲論議の前に、立法府の一員としての責務を全うすべきだ。
引用終わり
************


毎日新聞
社説
自民党の9条改正論議 熟成を待たぬ粗雑な決着
毎日新聞2018年3月24日 東京朝刊

自民党の憲法改正推進本部が自衛隊の根拠規定に関する憲法9条の改正論議を終結させた。


戦力不保持を定めた9条第2項は維持したまま、「9条の2」を新設し、「我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つ」ために、「自衛隊を保持する」との条文にするという。安倍晋三首相が提起した考えに沿ったものだ。

執行部の当初案には、自衛隊の性格付けとして「必要最小限度の実力組織」との文言があったが、これを削除して「必要な自衛の措置をとる」ことが可能に書き換えられた。

政府は9条2項と整合させるため自衛隊を「戦力未満」の組織と定義してきた。その補強材料が「必要最小限度」という表現である。

制約を緩める可能性

新たな自民案ではこの制約があいまいになる。結果として政府が「必要」と判断すれば自衛隊の活動範囲や装備を大幅に拡大させる根拠になる。集団的自衛権の完全行使すら読み込めないことはない。

首相は、改憲しても「自衛隊の役割と権限に変更はない」と語ったが、この説明とも相いれない。

党内では首相主導の「2項維持」論と石破茂元幹事長らの訴える「2項削除」論とが対立していた。執行部は、あすの自民党大会前に意見集約を済ませようと、2項削除派に配慮して文言を修正したのだろう。

政党が憲法についてどんな議論をしようと自由だ。しかし、自民党は戦後政治を担い、今も衆参両院で圧倒的多数を占める政権党である。

その党が現行憲法の核心である9条をこれほど無造作に扱い、これほど密度の粗い改憲案を提起することに、がくぜんとする。

戦後日本の安全保障は、9条と日米安保条約という、方向性の異なる規範のバランスの上に成り立ってきた。自衛隊は発足当初から日米安保の補完を目的にしている。

このねじれを解こうとする試みは右派勢力から繰り返し提起された。それでも、9条が維持されてきたのは、多くの国民にとって9条が忌まわしい戦前の軍国主義と断絶するシンボルだったからにほかならない。

すなわち9条は国家目標であるとともに、戦前へのネガティブな歴史観を併せ持っていたがゆえに、「屈辱規定」だと嫌悪する右派への支持は広がらなかった。9条と安保・自衛隊を共存させてきたのは「保守政治の知恵」でもあった。

しかし、自衛隊は今や世界有数の装備と隊員を擁する巨大組織だ。憲法施行から70年以上が過ぎ、この組織を憲法上どう位置づけるかという問題提起は意味がある。

日本を取り巻く国際環境も変わった。中国の軍事力が年々増強される一方、超大国だった米国は国際秩序を単独で維持するだけの意思も能力も低下させている。

日本としては、相対的に優位にある米国を中心に、自由や民主主義の価値観を共有する国々と安保面で相互依存のネットワークを築いていくことが現実的な選択肢だろう。

首相と党の自己都合

自衛隊をめぐる論議は、9条が担ってきた歴史的意義や、周辺環境の変化を踏まえて、憲法の平和主義と国際協調主義を今日的にどう生かすか、細心の注意を払いながらじっくりと行うべきものである。

自民党のやり方は、そうした正攻法とはかけ離れている。

執行部が党大会までの意見集約を急いだのは、今年秋の改憲案発議という目標から逆算したためだろう。

なぜ今秋の発議かというと、改憲容認勢力が衆参で3分の2以上を占めている間にという計算からだ。

安倍首相が2020年中の改憲目標を設定したのは、自らの在任中にという事情を抜きには語れない。

いわば首相と自民党は二重三重に自己都合による改憲日程を組み立てているだけだ。そこからは国会と国民との共同作業を通して新たな「国家的総意」を練り上げていこうとする誠実さがうかがえない。

長くタブー視されてきた9条の改正論議だからこそ曲折を覚悟すべきだろう。しかし、首相は現行憲法を「押しつけ憲法」と呼んではばからない。そんな感覚で取り組む改憲作業は、日本に取り返しのつかない分断をもたらすはずだ。

共有財産である憲法の改正は首相に同調する勢力の一時的な数で決めるものではない。3分の2があってもなくても、国民世論を熟成させるプロセスこそ最も重要である。
引用終わり
*************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


佐川長官辞任 政権全体が問われる

2018/03/11 23:09
20180310

朝日新聞
(社説)佐川長官辞任 政権全体が問われる
2018年3月10日05時00分

辞任は当然である。しかし、これで幕引きにはできない。

麻生財務相が記者会見で前理財局長の佐川宣寿(のぶひさ)・国税庁長官の辞任を発表した。森友学園との国有地取引に絡む国会対応などの責任をとると、本人が申し出たという。

確定申告さなか、徴税機関トップの異例の辞任である。この事態を招いた任命権者の麻生財務相、そして人事を認めた安倍首相の責任は極めて重い。

麻生氏は、昨年の通常国会で虚偽が疑われる答弁を重ねた佐川氏を国税庁長官に昇格させ、その後の国会審議でも「適材適所」と繰り返した。首相もそれを受け入れてきた。

それなのに、財務省の決裁文書の内容が書き換えられていた疑いが浮上し、国民の不信に火が付くと、懲戒処分したうえで突然の辞任である。

受け入れ難いのは、麻生氏がきのうも佐川氏は「適任だった」とし、国会にもきちんと対応していたと語ったことだ。自身の任命判断に誤りはなく、今後、国会で佐川氏に説明させるつもりもないと言い切った。

さらに重大なのは、麻生氏が会見で、文書書き換えの有無について口を濁したことだ。佐川氏を辞めさせることで世論を沈静化させ、問題をあいまいにしようというなら許されない。

麻生氏、さらに首相は、政府として誠意ある調査を主導し、その結果を迅速に国民に説明する責任がある。

問われているのは佐川氏の去就にとどまらない。政権のあり方そのものだからだ。

格安の売却が報じられたのは昨年2月上旬。学園の開校予定の小学校の名誉校長を首相の妻昭恵氏が務めていた。関係者によると、文書の内容が変わったのは同月下旬以降とみられる。

首相や昭恵氏の存在が、特例的な扱いの背景になかったか。「1強」といわれる首相への、いわゆる忖度(そんたく)はなかったか。

書き換えが疑われている文書は、与野党が財務省に要求したものだ。書き換えが事実なら、1年余の国会審議の前提が覆ることになる。行政府として、立法府への軽視はなかったか。

国会で改めて十分な時間を確保し、議論を仕切り直さねばならない。辞任した佐川氏の国会招致が不可欠なのは言うまでもない。

安倍政権では公文書の管理をめぐる問題が絶えない。

行政が適正に行われたか、判断材料となる公文書をずさんに扱うことは、国民への背信である。問題の根っこに何があるのか。政権全体が問われている。
引用終わり
************:


毎日新聞
社説
森友問題で佐川長官辞任 疑惑は解明されていない
毎日新聞2018年3月10日 東京朝刊

森友学園への国有地売却問題で、財務省の文書改ざん疑惑が国会の焦点となる中、前財務省理財局長の佐川宣寿国税庁長官が辞任した。


佐川氏は疑惑解明のカギを握る一人だ。佐川氏や麻生太郎副総理兼財務相は、国会の混乱を招き、疑惑への指摘が相次いでいることが辞任の理由と説明した。だが肝心の疑惑は解明されるどころか深まる一方だ。辞任で幕引きとは到底いかない。


当初から批判がありながら佐川氏を長官に起用した麻生氏だけでなく同様に「適材適所」と繰り返してきた安倍晋三首相の責任も免れない。

昨年、森友問題が国会で追及された際、佐川氏は局長として森友側との事前の価格交渉を否定し、交渉記録は廃棄したと再三説明してきた。

ところが、その後、答弁の信ぴょう性を疑わせる音声記録や内部文書の存在が次々と発覚。野党は「虚偽答弁だ」と国会での証人喚問を要求したが、与党は拒否し、佐川氏は国税庁長官として記者会見もせず沈黙するままだった。

こうした経緯だけからしても辞任は当然だ。ただし、佐川氏は記者団に釈明するだけでなく、今後自ら国会で説明する必要がある。与党も証人喚問を求めるべきだ。

森友問題では国会議員に提出した文書は原本が改ざんされ、「特例的な内容」等々の文言が消えているとの疑惑が新たに浮上している。一方、毎日新聞が情報公開請求で入手した別の文書にも「特例処理」などの文言があったことが分かっている。

「特例」とは何を意味するのか。土地の値引きが特別扱いだったとすれば、その理由は何か。それは誰かの指示だったのか。あるいは安倍首相の妻昭恵氏と学園との関係を担当者がそんたくしたのか−−。疑惑は何も解消されていない。

改ざん疑惑に対し、財務省は改ざんがあったともなかったとも明言せず、関係者の事情聴取結果も国会に報告しない状態が続いていた。疑惑との関係は不明だが、国有地売却の担当部署にいた近畿財務局職員が自殺する事態にまでなっている。

麻生氏は問題の決裁文書の有無などについて近く報告すると明言した。今のままでは国民の不信は高まるばかりだ。安倍政権全体として解明を急がないといけない。
引用終わり
*************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


森友と財務省 問われる立法府の監視(朝日)

2018/03/09 19:34
20180309

朝日新聞
(社説)森友と財務省 問われる立法府の監視
2018年3月9日05時00分

国会の調査要求に、財務省はまたも「ゼロ回答」で応じた。

森友学園との国有地取引をめぐり、財務省の決裁文書の内容が書き換えられた疑いが出ている問題で、財務省はきのう参院予算委員会の理事会に、文書のコピーを提出した。

文書は、これまで国会に示されたのと同じ内容だった。財務省幹部は「現在、近畿財務局にあるコピーはこれが全て」と説明したが、他にも文書があるか否かは「調査は継続中」と明確にしなかった。

与野党の要求で国会議員に示された財務省の公文書が、書き換えられていた可能性がある。

問われているのは、立法府と行政府の関係の根幹である。

権力の乱用を防ぐため、国家権力を立法・行政・司法の三権に振り分け、チェック・アンド・バランスを利かせる。

事実究明に後ろ向きな財務省の対応は、三権分立に背くと言わざるを得ない。立法府による行政府への監視が機能するか否かが試される局面である。

その意味で、理解に苦しむのは、きのうの参院予算委の審議をめぐる与党の対応だ。

財務省の不十分な調査報告を受けて、自民党の委員長が野党の反対を押し切る形で委員会を開会。これに抗議した多くの野党が席に着かなかった。

本来なら、与党も含め立法府をあげて、誠実で迅速な調査を財務省に、さらには安倍内閣に迫るべきではなかったか。

財務省は、自らの調査が、国有地の売却問題を調べている大阪地検の捜査に影響を与えてはならないと繰り返す。

だからといって、国会の行政監視機能が萎縮していいはずがない。

「両議院は国政に関する調査を行い、これに関して証人の出頭、証言、記録の提出を要求することができる」

憲法62条はこう定めている。

立憲民主党や共産党など野党6党は、それを具体化するための国会法104条に基づく国政調査権の発動を求めている。衆参いずれかの委員会で過半数の議決をへて発動すれば、政府は必要な報告や記録を提出しなければならない。

与党は応じようとしないが、このままでは国民の不信は膨らむばかりではないか。国会が国民の負託に応え、信頼を取り戻す責任は与野党双方にある。

学園への便宜を否定する国会答弁を重ねてきた佐川宣寿(のぶひさ)・前理財局長(現国税庁長官)の国会招致も欠かせない。

国権の最高機関である国会の存在意義が問われている。
引用終わり
************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


森友文書問題 書き換え疑惑の真相究明を(読売)

2018/03/09 19:34
20180309

読売新聞
社説
森友文書問題 書き換え疑惑の真相究明を
2018年03月09日 06時00分

公文書の書き換え疑惑が浮上し、国会の焦点となっている。政府は真相究明を急ぎ、説明責任を果たさねばならない。


学校法人「森友学園」に対する国有地売却の決裁文書に関する疑いである。

財務省近畿財務局が作成した2015年の土地貸し付け契約と16年の売却契約の決裁について、財務省が昨年、国会議員に提出した文書と内容が異なるという。

安倍首相は「早期に説明できるよう財務省を挙げて努力してもらいたい」と語った。問題が長引けば、政権への信頼を損ねかねない。事態収拾を急ぐ必要がある。

指摘されている疑惑は、元の文書にあった「本件の特殊性」「特例的な内容」などの文言が削除された、という内容だ。

籠池泰典・前学園理事長は土地取引に関し、政界に様々な働きかけを行っていた。会計検査院は売却価格の値引きについて「根拠が不十分」と疑問を呈している。

野党は、財務省が学園に便宜供与を図り、その意図を文書の書き換えで隠そうとしたのではないか、と追及している。

財務省は8日、決裁文書のコピーを参院予算委員会に提出したが、これまでの文書と同内容だった。大阪地検が捜査中であるとして、書き換えの有無について「確認できない」とも説明した。

与野党は、一致して財務省に文書の提出を求めている。政府が、国会の国政調査権にできる限り協力するのは当然である。改ざんなど悪質性が高い場合、法的責任を問われる可能性もある。

財務省は関係者から聴取するとともに、文書の確認作業を行って事実関係を明らかにすべきだ。

森友問題では、国税庁の佐川宣寿長官が財務省理財局長当時、学園との面会記録などを「廃棄した」と答弁した。だが、財務省はその後、取引に関する文書を公表した。貴重な行政記録である公文書の扱いが粗雑ではないか。

佐川氏は昨年7月の長官就任後、記者会見を開いていない。うやむやな態度を続ければ、国民の不信感を助長する。

立憲民主党、民進党などは、疑惑が解明されていないとして国会審議を拒否している。内政・外交の課題が山積する中、無責任な対応と言わざるをえない。疑惑の追及と並行して、18年度予算案などの審議に臨むべきだ。

今国会では、厚生労働省の裁量労働制に関するデータのミスが判明した。政府全体で緊張感を持って取り組まなければならない。

2018年03月09日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
引用終わり
*************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


憲法9条改正案 世論喚起へ具体的に論じよ(読売)

2018/03/09 19:33
20180305

読売新聞
社説
憲法9条改正案 世論喚起へ具体的に論じよ
2018年03月05日 06時00分

憲法をどう変えるか。具体的な条文案に基づく建設的な議論を丹念に積み重ね、改憲の機運を高めていきたい。


自民党の憲法改正推進本部は、9条改正の内容について、所属国会議員が寄せた120以上の提案を類型化したうえで、協議を進めている。主体的な取り組みは評価できる。

日本の安全保障環境が悪化し、自衛隊の役割はより重要になっている。違憲論を払拭ふっしょくし、正当性を持たせることが、平和な暮らしを守る上で、大きな意義を持つ。

それぞれの条文案の意味や目的を平易な言葉で示し、議論の過程も明らかにすることが重要だ。そうした努力が、抽象論に陥りがちな憲法論議に対し、国民の関心を深めることにつながる。

自民党の9条改正案は、戦力不保持を定めた2項を維持するか、削除するかに大別される。

維持案は、安倍首相が提唱したもので、公明党などの合意がより得やすいとみられる。

2項を残した上で、「自衛隊」や「自衛のための必要最小限度の実力組織」の保持を明記する案が出ている。いずれも「自衛力」を明文化する規定と言える。2項が禁止する「戦力」とどう違うか、明快な説明が求められる。

「自衛権の発動を妨げない」と言い換える提案もある。日本が国として有する集団的自衛権の行使に影響するか、議論が必要だ。

2項を削除し、自衛隊の目的や役割を明確化する場合は、「戦力」との整合性は問われず、分かりやすい。過去の党の憲法改正草案に近く、支持層に受け入れられやすいという利点もある。

反面、これまでの憲法論議を大きく変更することから、世論の理解を得にくいことが課題だ。

より多くの議員が納得できる結論を導くことが大切である。

自衛隊を明文化する以上は、自衛隊に対する首相の指揮権を明記することが必要ではないか。軍事への政治の優先を確保する「文民統制」が明確になる。

自衛隊の出動に際し、国会の承認を憲法上に規定することも、一考に値するだろう。

党執行部は25日の党大会で、緊急事態条項の創設などと併せ、改憲の方向性を示したい考えだ。

憲法改正には、衆参各院の3分の2以上の賛成で発議した後も、国民投票で過半数を得るという高いハードルが待ち受ける。

自民党は、他党との調整や、世論の動向を見極め、発議の時期は冷静に判断する必要がある。

2018年03月05日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
引用終わり
*************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


佐川氏の国会招致を

2018/03/09 19:33
20180213

毎日新聞
社説
森友学園問題の国会審議 佐川長官の招致は必須だ
毎日新聞2018年2月13日 東京朝刊

佐川宣寿(のぶひさ)国税庁長官を衆院予算委員会に招致するかどうかが通常国会の大きな焦点になっている。


佐川氏は昨年の通常国会で、財務省理財局長として森友学園への国有地売却問題の政府答弁を担当した。

野党の招致要求を与党は拒否している。後任の太田充理財局長が答弁すればよいというのが理由だ。しかし、その理屈には無理がある。

第一に、佐川氏が交代してから、新たな行政文書や音声データが発覚したことだ。学園側との交渉記録について「全て破棄した」という佐川氏の答弁は根底から揺らいでいる。

近畿財務局の担当者間で対応を相談した内部文書を財務省は今年になって1月に5件、今月も20件と相次ぎ公表している。だが、会計検査院が昨年、国会に提出した森友問題の報告書には反映されていない。

財務省は組織的に情報を隠蔽(いんぺい)していた疑いがある。佐川氏はその当事者として国会で説明すべきだ。

第二に、売却価格を8億円値引きした根拠についても、佐川氏の答弁は正当性を失っている点がある。

「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いたいといった希望があったこともない」

佐川氏はこう断言していた。しかし、学園側が「ゼロに近い形で払い下げを」と要求し、近畿財務局職員が「ゼロに近い金額まで努力する」と語った音声データが見つかった。

財務省と学園の間でどのような交渉が行われたのかが真相究明の根幹だ。音声データの内容は「金額のやり取り」であって「価格交渉」ではないなどと太田理財局長は苦しい答弁を繰り返している。

学園側が問題の土地に建設していた小学校の名誉校長には一時、安倍晋三首相の妻昭恵氏が就いていた。それは「知らなかった」というのが佐川氏の答弁だが、学園側が再三、昭恵氏の名前を出して財務省に値引きを迫ったこともわかっている。

佐川氏を国税庁長官に起用した人事は「森友隠し」の論功行賞と野党などから批判された。佐川氏は長官就任後、記者会見もしていない。

学園側と昭恵氏の関係を財務省がそんたくし、不当な便宜を図ったのではないかという疑念は消えないままだ。佐川氏の招致なしに、森友問題の真相究明は進まない。
引用終わり
*************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


中国の北極白書 権益拡大の動きを警戒したい(読売)

2018/03/09 19:32
20180213

読売新聞
社説
中国の北極白書 権益拡大の動きを警戒したい
2018年02月13日 06時07分

海洋強国化の一環として、北極海でも影響力拡大を目指す姿勢が明確になったと言えよう。


中国の習近平政権が、北極政策に関する初の白書を発表した。

北極圏に領海や領土を持たない域外国でも「活動の権利と自由がある」と主張し、幅広い分野で関与を強める方針を示した。

北極海を通る航路を「氷上シルクロード」と呼び、開発と利用を進めると強調した。陸と海のシルクロードからなる巨大経済圏構想「一帯一路」と結びつけて各国に参加を呼びかけた。

中国は「一帯一路」で、港湾や鉄道などのインフラ整備や投資を積極的に行い、存在感を高めてきた。軍事拠点確保の狙いもあるとされる。南シナ海や東シナ海では「法の支配」に基づく海洋秩序を蔑ないがしろにしてきた。

北極での動きを関係国が警戒するのは当然だろう。

北極海は地球温暖化による氷の減少で、航行可能な海域が増えた。日欧間の距離は、スエズ運河経由に比べて約6割になる。天然ガスや石油など豊富な資源の存在も指摘される。経済、安全保障両面で重要性が増している。

問題なのは、各国の利害が交錯する中で、国際ルールが確立していないことだ。領有権主張の凍結や平和利用を定めた南極条約のような取り決めはない。

米露両国やカナダ、フィンランド、デンマークなど北極圏8か国は「北極評議会」を構成し、権益を事実上独占してきた。

ロシアは北極圏での国益確保を軍事上の優先課題に位置付ける。事故防止を名目に、北極海を航行する船舶に露砕氷船の同行を義務づける独自のルールで料金を徴収し、経済的利益も得ている。

日本や中国、韓国などの非沿岸国は、2013年に「評議会」へのオブザーバー参加が認められたが、議決権はない。沿岸国の排他的な動きに歯止めをかけ、北極の自由で安定した利用を確保することが肝要である。

日本は、15年に北極でのルール作りへの貢献をうたった北極政策をまとめている。

中国が近年、大型砕氷船による北極海横断やフィンランドなど沿岸国との連携を推進してきたのと比べ、出遅れは否めない。

北極海航路の利用が活発化した場合、中国の艦船が宗谷、津軽、対馬海峡を通過する機会が増えよう。日本の安全保障への影響は計り知れない。政府は戦略を強化しなければなるまい。

2018年02月13日 06時07分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
引用終わり
*************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


米「核戦略見直し」

2018/02/13 02:28
20180204

毎日新聞
社説
トランプ政権の「核態勢見直し」 新たな軍拡競争を恐れる
毎日新聞2018年2月4日 東京朝刊

米科学誌が1月下旬に発表した「終末時計」は、地球最後の日までの概念的な残り時間が「2分」となり、この1年で30秒進んだ。


米ソの核実験競争が過熱していた冷戦中の1953年と並ぶ、最悪の状況だという。その背景に北朝鮮と米トランプ政権の核戦争含みの対決機運があるのは言うまでもない。

だが、米政府が2日に公表した「核態勢見直し(NPR)」によって「時計」の針はさらに進み、2018年は人類史上、最も危険な年になるかもしれない。

NPRは言う。米国が核軍縮に努力する間にロシアや中国は核兵器の増強・近代化を図り、北朝鮮は国際社会の懸念をよそに核開発を続け、世界は極めて危険な状況にある。

だから米国の抑止力を高めるために、核兵器の破壊力を調整して小型化するなど、状況に合わせて柔軟に対応できるようにするのだと。

◇露との対立より軍縮を

前回のNPRをオバマ前政権が10年に発表してから8年。世界の安全保障環境は大きく変わった。トランプ政権が新たな核戦略を策定するのは理由のないことではない。

問題は、政権の世界観と核に対する考え方だ。核兵器は「米国と同盟国の死活的な極限状況でのみ使用を検討する」という方針はオバマ政権時のNPRと変わらない。

だが、今回のNPRはロシアや中国、北朝鮮、イランなどの動向を分析しながら、さまざまな状況下で米軍が核を使う事態を想定しているようだ。核によらない攻撃にも核で反撃する可能性も打ち出した。

これでは核を使う際の心理的ハードルが下がり、核攻撃の現実味が増すのは当然だ。「米国は核を使いたいわけではない」と国防総省高官は釈明するが、少なくとも米国と対立する国はそうは考えまい。

小型核は偶発的な核戦争の危険を高めやすい。オバマ政権が艦船配備の核巡航ミサイル(SLCM)を退役させたのは、通常の巡航ミサイル攻撃を相手国が核攻撃と誤認、または意図的に曲解して核で反撃することを避けるためでもあった。

SLCMの復活を打ち出したトランプ政権は、オバマ政権の「核兵器なき世界」を名実ともに過去のものとしたといえよう。

極めて危険な選択である。トランプ大統領は先月末の一般教書演説でも、圧倒的な力を示すことが最良の防衛だという考えを示し、核軍拡に突き進む姿勢を見せていた。

だが、既に世界最強の米軍の軍備拡張は、中露のみならず北朝鮮やイランの反発と軍拡を招かずにはいまい。そんな危険を冒すより中露を含めた国際的な軍縮を推進する方が安全で理にかなっている。

核拡散防止条約(NPT)の観点からも疑問だ。NPTは米英仏露中に核兵器保有を認める代わりに、5カ国の責務として誠実な核軍縮交渉を求めている。トランプ政権の核政策はこの精神と相いれずNPTの空洞化に拍車をかける恐れがある。

◇北朝鮮問題の障害にも

NPRの策定はクリントン政権以来4回目。トランプ政権と同じ共和党のブッシュ(子)政権も「使える核」に傾斜したが、02年に公表したNPRでは前年の米同時多発テロを踏まえてテロ対応に重点を置き、旧ソ連やロシア敵視の戦略と完全に決別する方針を表明している。

トランプ政権の激しい「ロシア敵視」は新たな冷戦を招きかねない。

日本の立場も微妙になろう。昨年、核兵器を持たない国々は核保有国が核軍縮に消極的なことに怒り、核兵器禁止条約を採択した。「唯一の被爆国」の日本は米国の強い要請もあり、この論議に参加しなかった。

だが、米国が核軍拡に傾けばNPTによる核軍縮・核全廃はますます見通しが立たなくなる。米国の「核の傘」に依存する国々は、日本も含めて禁止条約に反対の立場だが、かといって大国の核軍拡競争が始まることは歓迎できまい。

河野太郎外相は今回のNPRについて、日本など同盟国に対する拡大抑止(核の傘)への関与を明確にしたと評価した。北朝鮮の核武装を許さないとする強い態度表明も日本政府にとって好ましいものだろう。

とはいえ、核を除けば軍事弱小国に過ぎない北朝鮮に対し、米国は核戦略を転換せずとも対応できよう。むしろNPRによって中露との対立が強まれば、北朝鮮問題をめぐる国際連携にとって重大な障害となりかねないことを自覚すべきである。
.引用終わり
**************


朝日新聞
(社説)米国の核戦略 歴史に逆行する愚行
2018年2月4日05時00分

核兵器のない世界を願う国際世論に冷水を浴びせる内容だ。核軍縮の歴史にも逆行し、世界の安全を脅かしかねない。

米トランプ政権が「核戦略見直し(NPR)」を発表した。今後5〜10年の米国の核政策の指針となる報告書である。

前回8年前の報告書から方向性が一変した。核の役割と数を減らしていくというオバマ前政権時の決意は姿を消した。反対に、核の役割と能力を拡大する姿勢を鮮明に打ちだした。

ロシアや中国、北朝鮮の脅威を強調し、前政権時にくらべて「状況は急激に悪化した」と指摘する。しかし、他を圧する核戦力によってのみ自国の安全が確保できるという発想は、時代錯誤も甚だしい。

米国と旧ソ連が不毛な軍拡競争に陥った冷戦時代は過去のものだ。国際テロ組織の活動やサイバー攻撃を含め、核の脅威はより複雑で多様化している。

大量の核兵器をいつでも使える形で持ち続けることは、誤認などによる核戦争や、核物質の流出などの危険を広げ、米国を含む世界を危険にさらす。

だからこそ07年、キッシンジャー元国務長官やペリー元国防長官ら超党派の4人が、核なき世界への提言をし、オバマ大統領の姿勢につながった。トランプ政権は、そうした歴史的な議論の積み重ねを学ぶべきだ。

報告書でとくに問題なのは、潜水艦発射型の弾道ミサイルや巡航ミサイルに載せるために、爆発力を弱めた核弾頭を開発する方針を掲げた点だ。

使いやすい核を持てば相手国がおびえて、抑止力が高まるという考え方は、理性を失ったかのようだ。核と通常兵器との区別がつきにくくなれば、偶発的な核戦争のおそれも高まる。

相手からの攻撃が核によらない場合でも、米国が核を使うことがありえるとも明記した。大規模なサイバー攻撃などが念頭にあるようだが、安易に核をふりかざす危険な発想だ。

米国も加盟している核不拡散条約(NPT)は、核保有国に核軍縮の義務を課している。核大国である米国の責任は、とりわけ重い。核政策でも「米国第一」主義に走るトランプ政権は、核の拡散を防ぐ国際体制を損ねる点でも無責任だ。

トランプ氏は先月の議会演説で「ひょっとしたらいずれ、世界の国々が一緒に核を廃絶する魔法のような瞬間が訪れるかもしれない」と冷笑的に語った。

核兵器が招く破滅への想像力を欠き、武力で自国の優越心を満たそうとする大統領の姿勢こそが、最大の懸念要因である。
引用終わり
***************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


台湾東部地震 今度は日本が支える番だ

2018/02/13 02:27
20180212

産経新聞
2018.2.12 05:02更新
【主張】
台湾東部地震 今度は日本が支える番だ

(1/2ページ) .
台湾加油(頑張れ)。東部を襲った6日深夜(日本時間7日未明)の地震で、花蓮市の12階建て集合住宅兼ホテル「雲門翠堤大楼」など4棟が倒壊状態となり、多くの死傷者が出た。

日本政府は警察庁、消防庁などからの専門家チーム7人を被災現場に派遣し、人命救助活動を支援している。

地震発生直後に100人を超えていた安否不明者の多くは無事が確認された。しかし、現地は強い余震が続き、被災者は不安を募らせている。

被災者の医療、生活支援、仮設住宅の建設など、今後は時間の経過とともに必要とされる人員、物資は多様化していく。被災者の立場に立った効果的な支援で台湾の人たちの力になりたい。

東日本大震災では、台湾からの温かい支援が被災者の心の支えになった。今回の台湾東部地震では「今度は私たちが台湾の人たちを支える番だ」といった東北からの呼びかけがインターネットなどで広がった。安倍晋三首相も蔡英文総統へのお見舞いメッセージで同じ趣旨の支援の意思を伝えた。

台湾と日本列島は一連の地震多発帯に位置する。1999年の集集地震(台湾大地震)の犠牲者は約2400人にのぼり、2年前の台湾南部地震も死者が100人を超える大災害となった。

.(2/2ページ) .
今回の地震で被害が大きかった4棟は、6〜12階建てビルの低層階が押しつぶされ、全体が倒壊したり大きく傾いたりした。2年前の熊本地震でも同じように低層階が押しつぶされたマンションがあった。

また、4棟はいずれも活断層の直近に建つビルだった。日本にも上町断層がある大阪市をはじめ市街地の直下を活断層が走っている都市がある。

災害時の相互支援とともに、地震学や土木、建築の専門家レベルでも日台が緊密に連携、協力することも重要だ。地震による揺れや建物への影響、倒壊の原因などを詳しく分析し、耐震化や都市防災の取り組みに生かしたい。

今回の地震で台湾が海外の支援を受け入れたのは日本だけだ。中国が申し出た支援は「人員、物資は足りている」と辞退した。

大切なのは信頼関係である。政府レベルでも市民同士でも、支え合い、互いに向上していける日本と台湾の関係を大事にしたい。
引用終わり
*************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


南北朝鮮対話 非核化の目標、堅持を(朝日)

2018/02/13 02:25
20180212

朝日新聞
(社説)南北朝鮮対話 非核化の目標、堅持を
2018年2月11日05時00分

北朝鮮の雪解け戦術がついに南北朝鮮サミットの呼びかけにまで達した。その対応を考えるうえで、恒久的な緊張の解消と非核化という目標を忘れてはならない。

平昌(ピョンチャン)冬季五輪に伴い韓国を訪れている北朝鮮代表団が、文在寅(ムンジェイン)大統領の早期の訪朝を呼びかけた。最高指導者である金正恩(キムジョンウン)氏からの要請として、妹の与正(ヨジョン)氏が伝えた。

文氏は即答を避けつつ、「条件を整えて実現させよう」と前向きな意向を示したという。

孤立を深める北朝鮮が融和の攻勢に出る意図は明らかだ。北朝鮮を突きはなす米国の側から韓国を引き寄せ、自らの包囲網を崩したいのだろう。

その意味で、文氏が南北関係の進展に並行して、「早期の米朝対話が必須だ」と与正氏に求めたのは適切な判断だ。今後、米国・日本と緊密に協議しつつ対応を練ってもらいたい。

北朝鮮のねらいがどうあれ、南北の指導者による直接の話しあいは本来、あるべき姿である。同じ民族同士が少しでも和解を進め、朝鮮半島の根本的な対立の構図を変えていく努力を重ねることは望ましい。

軍事挑発を続け、経済的に立ち遅れる北朝鮮に対し、韓国側の同胞意識は時の経過とともに薄れつつあるが、南北交流を深めたいとの世論は根強い。

ことしは、南北が分断して70年の節目の年でもある。歩み寄りの機運をてこに、北朝鮮に対する国際社会の懸念をしっかり伝えるべきだ。

文氏が語ったように、訪朝に向けた環境づくりは熟慮を要する。米国などとの調整に加え、国連安保理制裁の効果を損ねる行動は厳に慎まねばならない。

自らが大統領府の高官として取り組んだ07年の南北首脳会談の教訓を忘れてはならない。南北関係の進展を焦り、過度の経済支援に傾いたために、韓国国民からも反発を受けた。会談は長期的な成果を生まなかった。

さらに北朝鮮は自らを核保有国と語るようになり、状況は当時と異なる。文氏が「南北対話を米朝対話につなげる」と繰り返すのも、核・ミサイル問題の解決には結局は、米朝交渉しかないことを認めての発言だ。

国際社会による制裁を維持しつつ、なぜ非核化せねばならないのかを金正恩氏に説く。南北だけでなく、米朝と日朝の枠組みにも交渉の幅を広げていく。その努力を求めたい。

北朝鮮問題はいまや軍事的な衝突の危機に瀕(ひん)している。朝鮮半島の当事者を自認する韓国大統領が果たす役割は重大だ。

引用終わり
****************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


南北朝鮮会談 「核」抜きの改善は」有り得ない(読売)

2018/02/13 02:23
20180211

読売新聞
社説
南北朝鮮会談 「核」抜きの改善はあり得ない
2018年02月11日 06時05分

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、韓国を取り込もうと対話攻勢を強めたのは明白だ。


核問題で進展がないまま、国際包囲網が破れる事態を警戒せねばならない。

平昌五輪開幕に合わせて、北朝鮮高官級代表団が訪韓し、文在寅大統領と会談した。金正恩氏の妹の与正氏が、正恩氏の親書を手渡し、文氏の早期訪朝を要請した。親書には、南北関係改善の意思が込められているという。

与正氏は正恩氏の特使として、金永南最高人民会議常任委員長を団長とする代表団に加わった。金日成主席から3代続く最高指導者の直系親族の訪韓は初めてだ。

文氏は、代表団の訪韓が、朝鮮半島の緊張緩和と平和の定着、南北関係改善に向けた契機になったと強調した。

南北首脳会談についても、「環境を整えて実現させよう」と述べ、前向きの姿勢を示した。

看過できないのは、北朝鮮側に直接、核開発の放棄を求めなかったことだ。「南北関係の発展のためにも、北朝鮮と米国が早期に対話することが必要だ」と述べるにとどまった。

北朝鮮の核問題は、韓国の安全保障にも直結する。米朝対話に委ねるのではなく、自らが非核化を迫らねばならないことを、文氏は認識すべきである。

平昌で開かれた夕食会には各国の首脳らが集まった。

安倍首相は金永南氏に、日本人拉致問題の解決と核・ミサイル開発の放棄を要求した。

文氏は夕食会での米朝接触を仕掛けたが、ペンス米副大統領は拒否した。南北の融和ムードに流されず、北朝鮮に対する強硬姿勢を貫くという意思の表れだろう。

日米両国と韓国の温度差は明らかだ。北朝鮮は、最も切り崩しやすい韓国に狙いを定めて、3か国の離間を図る。文氏はまんまとはまっているのではないか。

北朝鮮が「微笑外交」を進める背景には、経済制裁の効果が上がり始めていることがある。圧力の継続が北朝鮮の行動を変えさせることを忘れてはなるまい。

今後の朝鮮半島情勢を左右するのは、延期中の米韓合同軍事演習の扱いだ。米国は、五輪・パラリンピック後の4月に実施すると明言している。中止を執拗しつように求める北朝鮮が、韓国をさらに揺さぶってくるのは間違いない。

演習は、北朝鮮の軍事挑発を牽制けんせいし、有事即応態勢を維持、強化する狙いがある。文氏は米韓同盟の堅持に努めるべきだ。

2018年02月11日 06時05分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
引用終わり
**************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


日韓首脳会談

2018/02/13 02:22
20180211

読売新聞
社説
日韓首脳会談 未来志向の関係構築の一歩に
2018年02月10日 06時00分

慰安婦や北朝鮮問題について、日本政府の立場を繰り返し伝える意義は大きい。原則を揺るがさないことが、建設的な日韓関係への一歩だ。


安倍首相が平昌五輪の開幕に合わせて訪韓し、文在寅大統領と会談した。両氏の会談は昨年9月以来となる。文政権は1月、日韓慰安婦合意を「真の問題解決にならない」と批判し、事実上の追加措置を求めている。

首相は会談で、「合意は国と国との約束であり、政権が代わっても順守すべきだ」と述べ、文政権の一連の対応は受け入れられないとの考えを示した。

文氏は「問題を真に解決するためには、被害者の名誉と尊厳を回復できるように両政府が努力していくべきだ」と語った。

合意は、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認している。文政権が問題を蒸し返すのは、信義に著しく反する。

日韓合意には、慰安婦を象徴するソウルの少女像の適切な解決に向け、韓国政府が「努力」することも盛り込まれている。文政権は像の撤去に取り組むべきだ。

両氏は「未来志向」の関係構築で一致した。首相の訪韓には日本国内で慎重論が強かった。首相が関係改善を優先し、リスクを冒して訪韓した意味を、文氏は重く受け止めるべきだ。

文政権は、国内の求心力維持のために慰安婦問題を利用してきた。北朝鮮と「反日」で足並みをそろえる可能性もある。歴史問題で日本政府は、韓国に原則を崩させないことが肝要である。

会談では、2015年以来行われていない日中韓首脳会談の早期開催を目指すことで合意した。

中国を含め、定期的に首脳が往来し合うシャトル外交を展開し、経済・文化交流など多角的に関係を深化させていく必要がある。

北朝鮮に対しては、核・ミサイル開発を放棄させるため、圧力を最大限まで高めていく方針を改めて確認した。

首相は会談で「日米韓3か国の強固な協力関係が揺らぐことはない。そのことを北朝鮮は認識しなければならない」と述べた。文氏に対し、「対話のための対話では意味がない」とも伝え、融和に傾くことをけん制した。

北朝鮮は、南北対話や五輪を舞台に韓国に接近し、日米と離間させようとしている。微笑外交の裏で、核・ミサイル開発を続けているのは明らかだ。

北朝鮮の政策転換を促す経済制裁を続けねばならない。

2018年02月10日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
引用終わり
*************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


憲法70年 自民の抱えるジレンマ(朝日)

2018/02/13 02:20
20180209

朝日新聞
(社説)憲法70年 自民の抱えるジレンマ
2018年2月9日05時00分

自民党の憲法改正推進本部が9条改憲に向けた条文案の作成作業に入った。

戦力不保持と交戦権の否認をうたう2項を維持し、自衛隊を明記する安倍首相の案を軸に検討する方針だ。

一方、党内では石破茂・元防衛相らが2項を削除する案を主張している。

驚かされるのは、案を提起した首相自身の国会答弁の不可解さだ。

自衛隊明記案が国民投票で否決されたら、どうなるか。首相はその場合も自衛隊の合憲性は「変わらない」と語った。

自衛隊を明記しても、しなくても自衛隊は合憲である――。

素朴な疑問がわく。それならなぜ、わざわざ改憲をめざす必要があるのか。

首相自身が言うように、歴代内閣は一貫して自衛隊を合憲としてきたし、国民の多くもそう考えてきた。

それでも発議に突き進むなら、深刻な問題を引き起こしかねない。

改正案の書きぶりにもよるが、仮に自衛隊明記案が国民投票で否決されれば、主権者・国民に自衛隊の現状が否定されたことにならないか。

首相は「現行の2項の規定を残したうえで、自衛隊の存在を明記することで、自衛隊の任務や権限に変更が生じることはない」とも述べている。

「変わらない」ことを、なぜここまで強調するのか。

推進本部特別顧問の高村正彦副総裁が、BS番組であけすけに述べている。

「2項削除は無理だ。国民投票がもたない。その前に公明党が賛成しない」

改憲の国会発議には、9条改憲に慎重な公明党の協力が必要だ。国民投票で過半数の賛成も得なければならない。

だからこそ、2項削除案に比べ、首相案は無難だと言いたいのだろう。

高村氏は一方でこうも語っている。「安倍さんが言っていることは正しい。石破さんが言っていることも間違いではない。この二つは矛盾しない」

だが、両者が矛盾しないはずがない。まず首相案で一歩踏み出し、いずれは2項を削除して各国並みの軍隊をめざす方向に進むということなのか。

「変わらない」と言い続ければ、改憲の必要性は見えにくくなる。といって改憲の意義を明確にしようとすれば、どう「変わる」のかを国民に説明しなければならない。

自民党の改憲論議は、深いジレンマに陥っている。
引用終わり
************


私見
自民党が憲法改正を党是として以来その姿勢は一貫している。唯、数多いる国会議員の中に、改憲消極派がいるのも又事実である。

だがこの議員達も「自衛隊が存在する根拠規定は憲法に有りますか」と問われれば沈黙するしかない。

彼らの多くが自衛隊合憲説を認めているのは、九条の解釈を、九条は国家の自然権である自衛権を否定したものとは考えられず、従って必要最小限度の実力組織は保持は禁止されていない。したもので明文規定があるわけではない。

九条一項や二項を残そうとするのは偽善・欺瞞だ。

日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


国家が戦争や武力行使を放棄して、いかにして主権を保持するのか?

九条を改正するなら
国は国軍を保持する。
国軍の最高指揮権は内閣総理大臣に属する。
国軍の編制その他に付いては法で定める。
だけで良い。
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


陸自ヘリ墜落 整備体制の見直しが急務だ(読売)

2018/02/13 00:12
20180207

読売新聞
社説
陸自ヘリ墜落 整備態勢の見直しが急務だ
2018年02月07日 06時00分

自衛隊に対する国民の信頼を損ないかねない極めて深刻な事故だ。徹底した原因究明と再発防止が欠かせない。


佐賀県神埼市の民家に陸上自衛隊の攻撃ヘリコプター「AH64D」が墜落し、搭乗していた隊員2人が死亡した。民家は全焼し、小学5年生の女子が右膝などに軽い打撲を負った。

安倍首相は「誠に遺憾だ。最高指揮官として心よりおわび申し上げる」と陳謝した。

現場付近には小学校があり、大惨事につながりかねなかった。住民には不安が広がっている。首相が小野寺防衛相に、すべての自衛隊ヘリの整備・点検を徹底し、同型機の飛行を当面停止するよう指示したのは当然である。

事故機は、50飛行時間ごとに行う定期整備を済ませ、点検飛行中だった。エンジンの動力を回転翼に伝える部品も交換した。

離陸後10分足らずで墜落している。飛行中に複数の部品が落下しており、機体にトラブルが生じた可能性が指摘されている。

陸自と佐賀県警は、業務上過失致死と航空危険行為処罰法違反の疑いで捜査を始めた。

通例なら住宅地への墜落を回避するはずの自衛隊機が、なぜできなかったのか。装備のハイテク化が進む中、整備に対応できる人材育成と適切な配置が行われていたのか。予算配分に支障はなかったのか。多角的な検証が重要だ。

安全確保に万全を期すため、防衛省全体で運用と整備態勢を抜本的に見直すことが急務である。

最近、自衛隊機の事故が各地で相次いでいる。昨年だけでも、航空自衛隊ヘリの静岡県浜松市沖での墜落など、死亡事故が3件発生した。原因として、操縦ミスが増えているとされる。

沖縄県では、米軍機のトラブルも後を絶たない。

北朝鮮の弾道ミサイル発射や、中国軍の活動活発化により、日本の安全保障環境は厳しい。自衛隊と在日米軍の警戒監視活動が増え、訓練も高度化していることが事故多発の背景にある。

事故やトラブルの最小化を図る取り組みも求められよう。

懸念されるのは、陸自の輸送機オスプレイを佐賀空港に配備する計画への影響だ。佐賀県議会は既に容認を決議したが、空港周辺の漁業者らが反発し、山口祥義知事は態度を明らかにしていない。

防衛省は県側に対し、オスプレイの安全性と、有事や災害対応に活用する意義を丁寧に説明し、配備に理解を求める必要がある。

2018年02月07日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
引用終わり
**************


産経新聞
2018.2.7 05:03更新
【主張】
陸自ヘリ墜落 原因究明し再発の防止を

(1/2ページ)【陸自ヘリ墜落】 .
あってはならない事故が起きた。原因の究明を急ぎ、再発防止を徹底しなくてはならない。

陸上自衛隊西部方面航空隊所属のAH64D戦闘ヘリコプターが佐賀県神埼市の民家に墜落、炎上し、11歳の女児が軽傷を負った。

隣家の祖母とともに逃げたのだという。冷静な行動が命を救った。

ヘリに搭乗していた2人の隊員は、いずれも死亡した。操縦士の遺体は、大破した機体の真下から発見された。コントロールを完全に失った機内で、最後まで住宅を回避すべく、操縦桿(かん)を握り続けたものと推察する。2人のご冥福を祈りたい。

ヘリは定期点検を終え、試験飛行のため目達原駐屯地を離陸し、7分後に墜落した。飛行前に、4枚の羽根をつなぐメインローター(主回転翼)ヘッドを交換していた。ヘリは飛行中にメインローターが分離し、ほぼ垂直に落下したとみられる。

通常、自衛隊員は事故の際、身をていして民間人の巻き添えを防ぐ。だがメインローターが分離する事故は極めて異例で、浮力、推進力を失った機体を制御することは不可能だったろう。

陸自や県警は、業務上過失致死と航空危険行為処罰法違反の容疑で現場検証を進めている。ヘリはフライトレコーダー(飛行記録装置)を搭載しており、解析を急ぐとともに、部品や整備、点検に不備がなかったか、徹底的に調べる必要がある。

(2/2ページ)【陸自ヘリ墜落】 .
沖縄では昨年12月、米海兵隊ヘリの窓が小学校の校庭に落下する事故があった。年明け以降もヘリの不時着が相次いでいる。米側に「厳格な安全確保」を要請したばかりの事故だった。

自衛隊でも昨年、陸自の連絡偵察機や海自ヘリ、空自ヘリの墜落事故があった。いずれも機種や事故原因が異なり、軽々に並べて論じることはできないが、住民が不安に思うのは当然である。

安倍晋三首相は衆院予算委員会で「住民の安全を脅かし、多大な被害を生じさせたことは誠に遺憾だ。徹底した原因究明と再発防止に全力を挙げていく」と述べた。その答えを、早急に明示する必要がある。

国防を担い、国民の安全を守る自衛隊の存在は、国民や地域の信頼や理解の上に成り立っていることを忘れてはならない。
引用終わり
*************


朝日新聞
(社説)陸自ヘリ墜落 現場のひずみにも目を
2018年2月7日05時00分

自衛隊員の命を奪い、民間人をも巻き込む重大事故が起きてしまった。徹底した原因究明が欠かせない。

佐賀県神埼(かんざき)市で、陸上自衛隊の戦闘ヘリコプターが墜落し乗員が死亡。住宅2棟が焼け、女児が軽傷を負った。

現場は、事故機が所属する目達原(めたばる)駐屯地の南西約5キロで、田畑に囲まれた住宅地の一角だ。近くには小学校もあり、住民の不安が高まっている。

原因究明の焦点は、事故直前の整備状況だろう。

防衛省によると、事故機は飛行50時間ごとに行う定期整備後の試験飛行中だった。整備とあわせ、1750時間ごとのメインローター(主回転翼)関連の部品交換も実施していた。

なぜ整備直後に墜落したのかが大きなポイントだ。

部品自体の問題か、整備や部品交換の作業上の問題か。機体のハイテク化が進むなか、整備士の熟練度は十分だったのか。事故との関連について詳細な解明と分析が求められる。

より広く事故の背景に目を向けることも不可欠だ。

とりわけ懸念されるのは、陸海空の自衛隊機の死亡墜落事故が、今年度これで4件目と頻発していることだ。一連の事故の背景に、構造的な問題が潜んでいる可能性は否定できない。

それを見極めるには、自衛隊の現場で何が起きているのか、自らの足元を見詰め直すことから始めなければならない。

近年、自衛隊の任務が大きく広がり、一人ひとりの隊員にかかる負荷が増えている。そのことが日常の活動にどんな影響を与えているか。

政治主導で米国製の最新鋭兵器の購入費が膨らんでいることも見逃せない。限りある防衛費のなかで、兵器の維持費や修理費にしわ寄せが及んでいるとの指摘がある。

沖縄県で相次ぐ米軍機の事故やトラブルも、北朝鮮などに対する警戒任務の増加や、米国防予算の削減が背景にあると言われている。自衛隊も似たような構造を抱えていないか。

陸自は今春、長崎県の相浦(あいのうら)駐屯地に離島防衛の専門部隊を発足させる。部隊輸送のため、防衛省はオスプレイを佐賀空港に配備する方針だが、地元との調整は難航している。

自衛隊の活動は住民の理解と信頼がなければ成り立たない。

防衛省は実効性ある再発防止策をつくり、国民が納得できるかたちで公表する責任がある。

そのためにも、一線の現場の課題を洗い出し、ひずみに目を向ける必要がある。
引用終わり
*************


毎日新聞
社説
陸自ヘリが民家に墜落 整備体制の総点検を急げ
毎日新聞2018年2月7日 東京朝刊

陸上自衛隊の戦闘ヘリコプターが佐賀県神埼市の民家に墜落する事故が起きた。


民家2棟などが焼け、少女1人が軽傷を負った。乗員1人が死亡し、機長の遺体が発見された。

機体の破片が散乱し、激しい黒煙と炎が上がった。事故の衝撃と恐怖に周辺住民は震えた。

周囲は田園地帯だが、墜落場所は住宅が密集し、近くには小学校や幼稚園もある。一歩間違えれば被害が広がっていてもおかしくなかった。

事故を起こしたヘリは対戦車ミサイルを搭載できるAH64D。定期整備を終え、点検飛行中だった。

自衛隊機が民家に墜落した事故は1969年に金沢市で起きた例があるが、極めて異例だ。

通常、機体にトラブルが発生するなど異常を感知した場合、基地に引き返したり、安全な場所を探したりして着陸しようとする。

しかし、防衛省や目撃者によると、事故機は急降下するように機首から落ちていったとされる。民家を避けようとする余裕もなく墜落した可能性が大きい。

操縦していた機長はベテランで、操縦ミスは考えにくいという。

主回転翼(メインローター)が飛行中に外れて落下したとの複数の目撃談がある。飛行直前の整備で4枚の主回転翼をつなぐ接続部品を交換したばかりだった。

整備ミスが原因だった疑いもあるという。同型機は13機しかなく、接続部品の交換もまだ3機目だった。

事故機の整備体制を検証することが不可欠だ。さらに全自衛隊機の装備状況の点検も急ぐべきだ。

懸念されるのは近年の自衛隊機による死亡事故の多さだ。2015、16年は各1件、昨年は3件あった。

多くのケースは操縦ミスが原因だった。事故抑止に向けて自衛隊全体の取り組みが求められる。

防衛省は、事故が起きた佐賀県の佐賀空港に新型輸送機オスプレイを配備する予定だ。反対論が強まるなどの影響は避けられないだろう。

首相は「国民の命と平和な暮らしを守るべき自衛隊が住民の方々の安全を脅かし、多大な被害を生じさせたことは誠に遺憾だ」と述べた。

信頼回復には徹底した再発防止策の公表も必要だ。
引用終わり
**************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


名護市長選

2018/02/13 00:11
20180206

読売新聞
社説
名護市長選 「普天間」の危険性除去を急げ
2018年02月06日 06時01分

地元の要望に最大限配慮しつつ、政府は、米軍普天間飛行場の辺野古移設を着実に進めていくことが大切である。


沖縄県名護市長選で、移設を容認する自民党が擁立した前市議の渡具知武豊氏が、移設に反対する翁長雄志知事の全面支援を受けた現職の稲嶺進氏を破って初当選した。

安倍首相は選挙結果を受けて、辺野古移設について「市民の理解を得ながら進めていきたい」と記者団に語った。

人口密集地にある普天間飛行場の辺野古移設は、危険性除去と、米軍の抑止力維持を両立させる唯一の現実的な解決策だ。円滑な移設の実現に向けて、作業を加速せねばならない。

前回自主投票の公明党も今回は渡具知氏を推薦した。政府・与党は閣僚や党幹部を連日投入するなど、総力戦を展開し、稲嶺氏に約3500票の差をつけた。

渡具知氏は選挙戦で、移設受け入れの是非に言及せず、地域活性化を前面に打ち出した。稲嶺市政は米軍再編交付金の受け取りを拒むなどしたため、地域経済は停滞している。渡具知氏は現状打開を望む民意の受け皿となった。

名護市長選は1998年以降、移設容認派が3連勝した。2009年に誕生した民主党の鳩山政権が無責任に「県外移設」を掲げたため、保守層内の対立を招き、翌年の稲嶺氏当選につながった。

移設問題を巡る混乱に終止符を打つきっかけとしたい。

政府は、埋め立て区域を囲む護岸工事を本格化している。今夏にも土砂の投入に着手する方針だ。22年度以降の完成を目指す。

関係自治体や住民に対し、移設の意義や作業の手順などを丁寧に説明するとともに、騒音・環境対策にも万全を期すべきだ。

沖縄では米軍機のトラブルが続発しており、飛行場付近の小学校に米軍機の部品が落下した。

北朝鮮情勢の緊迫化に対処した訓練の激化が背景にあるとはいえ、地域住民の安全確保は最優先事項だ。政府は米政府に対し、再発防止の徹底を繰り返し求めていくことが必要である。

翁長氏は、今回の選挙結果に関して「理解を得られず、大変残念だ」と記者団に述べるにとどめた。移設反対で徹底抗戦する構えをなお崩していない。

翁長氏は、稲嶺氏が市長だったことで「民意は移設反対」と決めつけ、政府との対決姿勢のよりどころとしてきた。秋の知事選の行方にも影響しよう。

2018年02月06日 06時01分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
引用終わり
*************


産経新聞
2018.2.6 05:03更新
【主張】
名護市長選 辺野古移設を前進させよ

(1/2ページ)【名護市長選】 .

沖縄県名護市長選で、米軍普天間飛行場の同市辺野古への移設を進める安倍晋三政権が支援した新人の渡具知(とぐち)武豊氏が、移設反対の現職を破って初当選した。

移設の進捗(しんちょく)を妨げてきた環境が、大きく改善されることが期待される。政府は適正な手続きの下で、移設工事を着実に進めるべきだ。

辺野古移設は曲折をたどってきたが、沖縄を含む日本とアジア太平洋地域の平和を保ち、普天間飛行場周辺に暮らす住民の安全を図る方策である。

中国は、沖縄の島である尖閣諸島を狙っている。原子力潜水艦を尖閣沖の接続水域で潜航させて挑発するなど油断ならない。核・弾道ミサイルを振りかざす北朝鮮は現実の脅威である。

日米同盟に基づき沖縄に存在する米軍が、軍事的にも政治的にも強力な抑止力となっていることを忘れてはならない。住宅密集地に囲まれた、普天間飛行場の危険性を除くことも急務である。

昨年12月には、普天間飛行場に隣接する小学校の校庭に米海兵隊のヘリコプターが窓を落とす事故があった。その後も、基地外への米軍ヘリの不時着が相次ぎ、政府が再発防止の徹底を求める事態となっている。

米軍が運用の改善を図るのは当然として、早期の辺野古移設が必要なのは明らかである。

(2/2ページ)【名護市長選】 .
安倍首相が市長選の結果を受け「市民の理解を得ながら、最高裁判決に従って(移設を)進めていきたい」と語ったのは妥当だ。

選挙の前、米軍ヘリ不時着をめぐる失言で内閣府副大臣だった松本文明氏が引責辞任した。県民、市民の理解を得ていくため、失態を繰り返してはならない。

国と県は、平成28年3月の和解で、辺野古移設について「(確定判決の)趣旨に従って誠実に対応する」と合意した。同年12月には、翁長雄志知事が沿岸部の埋め立て承認を取り消したことをめぐる訴訟の上告審判決で、最高裁が国側の全面勝訴を言い渡した。

県は昨年7月に移設工事差し止めを求めて提訴し、和解と最高裁判決をないがしろにしている。

市長は河川の流路変更など移設工事関連の権限を持つ。落選した稲嶺進氏は工事を阻止する構えだった。渡具知氏は安全保障政策に責任を持つ国と協調し、職責を果たしてほしい。
引用終わり
**************


日経新聞
社説
普天間移設で理解得る努力を
社説 2018/2/6付

沖縄県名護市長選が4日に投開票され、自民、公明、維新が推薦した渡具知武豊氏が初当選した。政府は今回の勝利を踏まえ、米軍普天間基地(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事を急ぎたい考えだ。とはいえ新たな基地への反対が根強い状況は変わらず、県民に丁寧に説明して理解を得ていく努力が重要になる。

市長選は地域活性化や基地問題が争点となった。渡具知氏は政府・与党幹部の応援を受け、現職で移設反対派の稲嶺進氏との一騎打ちを制した。事実上の移設容認派の市長誕生は8年ぶりとなる。

安倍晋三首相は5日、名護市長選について「現職を破るのは難しいと思っていたが勝ってよかった。県民の気持ちに寄り添いながら、さらなる沖縄の発展を全力で支援していく」と語った。

普天間移設をめぐる政府と沖縄県の調整は20年を超えた。市街地にあり「世界一危険」といわれる飛行場の閉鎖は先送りできない課題だ。日米両政府は「辺野古移設が唯一の解決策だ」と強調してきた。日本周辺の厳しい安全保障の現状を直視すれば、望ましい選択肢であるのは事実だろう。

一方で政府は「国土面積のわずか0.6%の沖縄になぜ日本にある米軍専用施設の約7割が集中しているのか」という地元の声に長く向き合ってこなかった。これが政府と沖縄の相互不信がここまで高まる原因となっている。

沖縄県では米軍関係者による暴行事件が後を絶たず、米軍機の墜落事故なども相次いだ。辺野古への移設で市街地での事故の危険性や騒音被害は確かに大きく減る。だが沖縄が担っている重い基地負担を全国でどう分かち合うかという議論は進んでいない。

今年11月には沖縄県知事選が予定される。名護市長選で与党が推す候補が勝ったからといって、工事をごり押しするような姿勢は次のあつれきを生むだけだ。「県民の気持ちに寄り添う」という首相の言葉を実行し、着実に移設につなげていく必要がある。
引用終わり
*************


朝日新聞
(社説)名護市長選 民意は一様ではない
2018年2月6日05時00分

米軍普天間飛行場の移設先、沖縄県名護市の市長選で、安倍政権の全面支援を受けた新顔が、移設反対を訴えた現職を破り初当選した。

たび重なる選挙で示された民意を背景に、辺野古移設阻止を訴えてきた翁長県政の痛手は大きい。ただ、政権側が「これで移設が容認された」と考えるなら、単純すぎる。

選挙結果は辺野古容認の民意と思いますか。当選した渡具知(とぐち)武豊氏はそう問われると、「思わない」と答え、「市民の複雑な意見は承知している」「国とも一定の距離は置かないといけない」と続けた。

今回、組織選挙で同氏を支えた公明党県本部は「辺野古移設反対」を掲げる。渡具知氏との政策協定では「米海兵隊の県外・国外移転」をうたった。ならば、海兵隊が使う辺野古の基地は必要なくなるはずである。

今後、この公約を果たすべくどう行動していくか。渡具知氏とともに公明党も問われる。

渡具知氏は選挙中、移設問題について「国と県の裁判を見守る」としか語っていない。代わりに強調したのは経済振興であり、政権側も交付金をちらつかせて後押しした。

朝日新聞などが告示直後に行った世論調査は、市民の揺れる心情を浮かび上がらせた。

辺野古移設に反対が63%で、賛成の20%を大きく上回った。一方で、投票先を決めるとき何を最も重視するかを聞くと、移設問題が41%、地域振興策が39%でほぼ並んだ。

「基地より経済」ではなく、「基地も経済も」――。市民の思いは一様ではない。

選挙戦さなかの国会で、首相の気になる発言があった。

沖縄の基地負担軽減に関連して、「移設先となる本土の理解が得られない」と衆院予算委員会で述べたのだ。

本土ではしないのに、沖縄では県民の理解が得られなくても新たな基地を造るのか。それこそ差別ではないのか。

首相はまた、ことあるごとに「最高裁の判決に従って(工事を)進めていきたい」と語る。

だが最高裁判決はあくまで、前知事による埋め立て承認を、翁長知事が取り消した処分を違法と判断したものだ。最高裁が辺野古移設を推進していると受け止められるような物言いは、明らかなミスリードだ。

辺野古移設の浮上から6度目の市長選だ。本来は身近な自治のかじ取り役をえらぶ選挙で、基地移転という国策をめぐって民意が引き裂かれる。その重荷を取り除く責任は政権にある。
引用終わり
************


毎日新聞
社説
名護市長選で自公系勝利 対立をどうやわらげるか
毎日新聞2018年2月6日 東京朝刊

沖縄県の名護市長選で、米軍普天間飛行場の辺野古移設を進める政府と自民、公明両党などが支援した元市議の渡具知(とぐち)武豊氏が初当選した。


翁長雄志(おながたけし)知事ら辺野古移設に反対する「オール沖縄」が推した現職の稲嶺進氏は3選を果たせなかった。

12月の任期満了に伴う知事選の前哨戦として注目された選挙である。移設反対勢力の支柱を失った翁長知事にとっては大きな打撃となろう。

1996年の普天間返還合意後、名護市は選挙のたびに移設容認か反対かをめぐって分断を深めてきた。

98年から3回は容認派、2010年からは2回反対派が勝ち、今回は再び容認派が推す候補の勝利だ。

この20年、有権者5万人弱の市で繰り返し移設の賛否を問われる住民に嫌気が広がり「辺野古疲れ」が生まれたとしても不思議ではない。

しかも今回は辺野古の護岸工事が始まって初の選挙だった。移設に反対でも「工事を止められないのでは」と考える有権者もいただろう。

政府は3年前から辺野古周辺地区に特別な補助金を出してきた。容認派を増やすための力ずくの手法が分断を助長したことも否定できない。

 「移設容認の民意が示されたとは思っていない。私の支持者にも反対の人がいて複雑な民意だ」。渡具知氏はこう語った。

正直な心情ではないか。選挙中、移設の賛否を明言しなかった渡具知氏の当選が、直ちに移設容認とはならないはずだ。

新市長がまず取り組むべきは、長年、市民を切り裂いてきた分断を修復する作業だ。市民の対立をどうやわらげるかに心を砕いてほしい。

太平洋戦争で激戦地となった沖縄は、終戦後も27年にわたり米軍の統治下にあった。この間、本土の米軍基地は返還されていったが、沖縄は取り残された。この基地負担の偏在が米軍基地問題の根っこにある。

米軍のヘリコプターの不時着が相次ぎ、ヘリの窓が小学校の校庭に落下した。安倍晋三首相は「沖縄県民の気持ちに寄り添う」と言う。

その首相はきのう「名護市民の皆様に感謝したい」と述べた。市民を賛成か反対かの二分法でしかとらえようとしない発想が透けて見える。

安倍政権は移設推進が「信任」されたと宣伝する姿勢は慎むべきだ。
引用終わり
*************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


茂木経済再生相の線香寄付は違法か

2018/02/13 00:10
20180203

毎日新聞
社説
茂木経済再生相の線香配布 今の説明では無理がある
毎日新聞2018年2月3日 東京朝刊

この説明で納得する人は、ほとんどいないだろう。

茂木敏充経済再生担当相(衆院栃木5区)の秘書が、選挙区内で線香や手帳を配っていた問題だ。

茂木氏は国会の答弁で、数年間、秘書が配っていた点は認めたものの、自ら指示はしていないと強調した。線香や手帳には自分の氏名は記載しておらず、政党支部の党勢拡大を目指した活動だとも説明した。

公職選挙法では候補者らが有権者に金銭や物品を寄付することを禁じている。政党支部の場合でも、候補者名が記されていたり、名前が類推されたりするような方法で寄付するのは禁止されている。もちろん、それが買収行為につながるからだ。

茂木氏は氏名は記しておらず、秘書は政党支部の活動として配布したのだから違法ではないというのだろう。公選法を所管している野田聖子総務相も「直ちに氏名が類推される方法とは言えない」との見解を示している。

ただし線香などを受け取った有権者は茂木氏からだと類推しなかっただろうか。

野党側が秘書は配布する際、茂木氏の名刺を持参していたかどうかを質問すると、茂木氏は「その場に居合わせておらず分からない」とかわすだけで、国民の理解を得ようという姿勢には見えない。

衆院予算委員会では安倍晋三首相が答弁している最中に、茂木氏と野田氏が閣僚席でしばらく談笑するような場面もあった。答弁のすり合わせとも受け取られかねず、不謹慎だ。与党内からも批判が出た。

1999年、自民党の小野寺五典氏(現防衛相)が氏名入りの線香を配り、公選法違反で書類送検され、翌年、議員を辞職する一方、公民権停止3年の略式命令を受けた。今回、無記名だったのは、その経過を知っていたからだと思われる。

だが「類推」とは何か、言葉自体があいまいで、そもそも有権者からすれば、政治家本人と秘書、政党支部を使い分けることに無理があると言うべきだ。

いまだにこうした脱法的とさえ言える行為が続いていることに改めて驚く。一切の例外規定を設けず、すべての寄付行為を禁止する法改正をすべきだろう。
引用終わり
**************


朝日新聞
(社説)茂木氏と線香 政治倫理はいずこへ
2018年2月2日05時00分

茂木敏充経済再生相(衆院栃木5区)の秘書が、選挙区で線香や手帳を配布していた。違法な寄付に当たるのでは、と野党が国会で連日追及している。

買収行為を防ぐため、公職選挙法は公職の候補者や関係団体などが、有権者に金銭や物品を寄付する行為を禁じている。

ただ政党支部については例外として、候補者の氏名を表示したり、氏名を類推されたりしなければ禁じられていない。

茂木氏の言い分はこうだ。

線香や手帳に私の氏名は記していない。政党支部の党勢拡大のための活動であり、配布したのは政党職員である秘書で、私自身は配っていない。だから公選法にのっとった活動であり、違法性はない――。

だが、秘書から線香などをもらった人は「茂木氏から」と受けとめるのが普通ではないか。

茂木氏は国会で、線香や手帳は資金管理団体で購入し、政党支部に寄付して配ったと説明した。実質的に、寄付が禁じられている関係団体からだったということではないのか。

「われわれは、国民の信頼に値するより高い倫理的義務に徹し、……清廉を持し、かりそめにも国民の非難を受けないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなければならない」

85年に衆院で議決された政治倫理綱領の一節である。

ただちに法に触れないとしても、法の趣旨に従う。国会議員として、まして閣僚として順守すべき当然の責任ではないか。

小野寺五典防衛相には、苦い経験がある。当選1回だった99年、氏名入りの線香を選挙区で秘書らと配って書類送検され、翌年、議員を辞職。公民権停止3年の略式命令を受けた。

線香に氏名を記したか否か。政治家本人が配ったどうか。それらを除けば茂木氏のケースとよく似ている。本来なら政党支部についても、選挙区での寄付をすべて禁じるのが筋ではないか。法の不備があるなら正すのが国会の役割である。

疑問なのは、公選法を所管する野田聖子総務相の答弁だ。

茂木氏の場合の違法性については「総務省は個別の事案について実質的調査権を有していない」としながら、秘書が氏名の表示のない政党支部からの寄付を持参することは「ただちに氏名が類推される方法とはいえない」との見解を示した。

これでは秘書が政党支部からとして持って行けば、氏名を書かなければ、どんな寄付でもOKとなりはしないか。

それでいいのか。国会でのさらなる議論が欠かせない。
引用終わり
**************


私見
毎日も朝日も茂木氏が政府の一員だから取り上げたのか?政党支部からの寄付行為は茂木氏にとどまらず与野党一般に行われていることだ。

**********
**********

《参考》
産経ニュース
2018.2.5 11:21更新

【衆院予算委】
「与野党かかわらず説明責任を」線香配布問題で安倍晋三首相 立民の線香代牽制

安倍晋三首相は5日午前の衆院予算委員会で、茂木敏充経済再生担当相の線香配布問題について「政治家は襟を正し、与党、野党にかかわらず疑問を持たれれば説明責任を果たしていくこと(が重要)だ」と述べた。

立憲民主党の青柳陽一郎氏の質問に答えた。同党でも近藤昭一副代表らの線香代支出が判明しており、野党を牽制したとみられる。

青柳氏は首相の答弁に対し「『与党、野党』というが、法を執行する立場の閣僚はわれわれ一般の議員よりも一層の法令順守が求められる」と語った。
引用終わり
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


「安保法」訴訟 唖然とする国の主張(朝日)

2018/02/05 13:12
20180203

朝日新聞
(社説)「安保法」訴訟 あぜんとする国の主張
2018年2月3日05時00分

安全保障関連法をめぐる訴訟で、国が驚くような主張をして裁判所に退けられた。安保・防衛論議の土台にかかわる問題である。国民に対する真摯(しんし)で丁寧な説明が必要だ。

舞台になったのは、安保法の成立をうけて現職の陸上自衛官が起こした裁判だ。自衛官は、集団的自衛権の行使は違憲との立場から、法が定める「存立危機事態」になっても、防衛出動の命令に従う義務がないことの確認を求めていた。

一審の東京地裁は「出動命令が出る具体的な可能性はない」などと述べ、踏みこんだ審理をしないまま訴えを却下したが、東京高裁はこれを否定。「命令に反すれば重い処分や刑事罰を受ける可能性がある」として、自衛官が裁判で争う利益を認め、審理を差し戻した。

あぜんとするのは、裁判で国が、存立危機事態の発生は想定できないとの立場を終始とり続けたことだ。安倍首相が北朝鮮情勢を「国難」と位置づけ、衆院選を戦った後の昨年11月の段階でも「国際情勢に鑑みても具体的に想定しうる状況にない」「(北朝鮮との衝突は)抽象的な仮定に過ぎない」と述べた。

説得力を欠くこと甚だしい。ならばなぜ、長年の憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認し、強引な国会運営で安保法を成立させたのか。

広範な疑問の声を抑えこみ、「国民の平和と安全なくらしを守り抜くため不可欠だ」と法の成立を急いだのは安倍内閣だ。ところが裁判になると、自らに有利になるよう「存立危機事態は想定できない」と主張する。ご都合主義が過ぎる。

高裁が、国の言い分を「安保法の成立に照らし、採用できない」と一蹴したのは当然だ。

どんな場合が存立危機事態にあたり、集団的自衛権の行使が許されるのか。安保法案の国会審議を通じて、安倍内閣は納得できる具体例を示さなかった。

首相が当初、象徴的な事例としてあげたホルムズ海峡の機雷除去も、審議の終盤には「現実問題として具体的に想定していない」と発言を一変させた。

一方で小野寺防衛相は昨年夏、米グアムが北朝鮮のミサイル攻撃を受ければ日本の存立危機事態にあたりうると、国会で前のめりの答弁をした。

裁判での国の主張とは相いれない。ただ共通するのは、存立危機自体の認定が、時の政府の恣意(しい)的な判断に委ねられている現状の危うさである。

判決を機に、安保法がはらむこの本質的な問題を改めて問い直す議論を、国会に望む。
引用終わり
*************


私見
************* 社説の気になる部分 **************
あぜんとするのは、裁判で国が、存立危機事態の発生は想定できないとの立場を終始とり続けたことだ。安倍首相が北朝鮮情勢を「国難」と位置づけ、衆院選を戦った後の昨年11月の段階でも「国際情勢に鑑みても具体的に想定しうる状況にない」「(北朝鮮との衝突は)抽象的な仮定に過ぎない」と述べた。

説得力を欠くこと甚だしい。ならばなぜ、長年の憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認し、強引な国会運営で安保法を成立させたのか。
***********************************************


安倍首相の発言は、裁判に対応するものではないから脇に置いといて、裁判所での陳述が事実ならこの担当者は、国民をなめ切っている。

想定できな事項に対して、法を制定することなど有り得ない。安保法制にどんな裏事情があるにせよ法制化するのであれば、それなりの論理構成が必要になる。

また、他紙が論評しないのも気になる所である。

***********
***********
記事へガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0


「何人死んだ」 沖縄めぐる政治の劣化(朝日)

2018/02/04 09:43
20180130

朝日新聞
(社説)「何人死んだ」 沖縄めぐる政治の劣化
2018年1月30日05時00分

松本文明衆院議員が内閣府副大臣を事実上更迭された。

沖縄で相次ぐ米軍機のトラブルを追及した共産党の志位和夫委員長の代表質問に対し、議場から「それで何人死んだんだ」と、ヤジを飛ばしたのだ。

発言が問題になると、「誤解を招いた」とおなじみの言い訳である。誤解の余地など寸分もない、政治家としての資質を欠く暴言だ。しかも、松本氏は沖縄担当の副大臣を務めたこともあるというのだから、あきれるほかはない。

安倍首相はきのうの衆院予算委員会で「沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、基地負担の軽減に全力を尽くす」と陳謝した。だがその言葉とは裏腹に、政府は辺野古の埋め立て工事をしゃにむに進める。今回の早期更迭の背景にも、投票が迫る名護市長選への影響を抑えたいとの思惑が透けて見える。

松本氏のふるまいは、沖縄県民の思いよりも米国を重視する政府の姿勢が、乱暴な形で表面化しただけではないのか。

沖縄はその空気を感じ取っている。翁長知事がヤジを「びっくりするようなものではない」と突き放し、普天間飛行場をかかえる宜野湾市の住民が本紙の取材に「何人死んだら動いてくれるのですか」と語っているのは、その表れといえよう。

1972年の本土復帰後だけで、沖縄での米軍機の事故は700件以上にのぼる。さすがに最近の頻発をうけて政府は米軍に飛行停止などを求めたが、あっさり無視されている。

政府与党の一員として本来進めるべきは、こうしたゆがんだ関係の是正である。だが難しい課題からは逃げ、中傷もどきのヤジを飛ばして悦に入る。歴史を知らず、学ばず、危険と隣り合わせの日常を想像する力もない政治家とは何なのか。

松本発言の翌日、野中広務氏が亡くなった。自民党の実力者として辺野古移設を進めた一人だ。一方で沖縄の苦難の歩みに心を寄せた。97年に軍用地の収用を強化する法律が成立した際、本会議場で、法律の必要性を認めつつ「沖縄県民を軍靴で踏みにじるような結果にならないように」と訴えた。ヤジと同じ不規則発言として議事録から削られたが、心ある人々の記憶に刻まれた。

多数のためなら少数者の犠牲はやむをえないのか。沖縄は本土にそう問いかけ、野中氏を含む少なからぬ自民党の政治家たちも、その声に何とか答えようと真摯(しんし)にとり組んできた。

いま、政治の著しい劣化に危機感を覚えざるを得ない。
引用終わり
*************


私見
内閣府は在沖縄米軍基地の存在に由来する問題に取り組んできている。それを無にするかの如き基地の存在によっての危険性を主張する共産党に松本文明内閣府副大臣は、腹に据えかねたのではないか?

だとしても「何人死んだんだ」との野次は不適切だ。

筆者は、頻発する米軍ヘリコプターの事故は、機体の老朽化と補用部品の取得が儘ならない状態でも技量維持に必要な訓練を実施しなければならないことから発生していると見ている。

それはさておき

論説は、日米安保の極東条項に触れず在沖縄米軍の存在を沖縄県だけの問題に矮小化している。そこからは中国が台湾の武力併合を目指していることなど見えない。

************
************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


佐川国税庁長官の国会招致を望む

2018/02/04 09:02
20180131

産経新聞
2018.1.31 05:01更新
【主張】
国税庁長官、説明責任から逃げるな 長官が人前で納税の意義さえ語れない異常な事態

(1/2ページ) .
政府の高官が説明を尽くさず、逃げ回っていては、昨年の国会の不毛な論戦を再現するだけだ。国政がまたも停滞する恐れがある。政府・与党はこんな簡単なことも分からないのか。

学校法人「森友学園」への国有地売却の問題をめぐり、当初はなかったとされた価格交渉記録の存在が明らかになった。

財務省理財局長当時に国会で事前の価格交渉を否定し、交渉記録は「廃棄」したと答弁していた佐川宣寿(のぶひさ)国税庁長官に改めて説明を求めるのは当然だろう。

当の佐川氏は長官昇格以来、一度も記者会見を開いていない。人前で納税の意義すら語れない異常な状態にある。野党側が国会へ出席して説明するよう求めても与党が拒んでいる。

麻生太郎副総理兼財務相は29日の衆院予算委員会で、佐川氏が昨年7月の長官就任時に、恒例の記者会見をしなかったことは「適切な対応」だったと擁護した。

麻生氏は「国税庁の所管以外に関心が集まっていたから、(会見を)実施しないと決めたと聞いている」と述べた。抱負を語る文書を配ったから構わないという。これは納得できない。

(2/2ページ) .
「森友」問題の発端は、評価額9億5600万円の国有地が、地中のごみ撤去費として約8億円値引きされたことだ。前理事長夫妻の巨額詐欺事件とは別に、国の財産処分が正当だったのかという問題が残っている。会計検査院は昨年11月、「必ずしも適切とは認められない点がある」とする検査結果を国会に報告した。

財務省は学園側とのやり取りの音声データの存在を認め、今年1月には、神戸学院大教授の情報公開請求に、詳細な交渉の経緯を記載した文書を開示した。

安倍晋三首相は24日の衆院本会議で、野党の佐川氏更迭要求を拒み、森友問題について「今後もしっかり説明しなければならない」と語った。説明責任は、首相一人にあるわけではない。昨年のような混乱を避けるためにも、佐川氏は国会や記者会見の場で説明責任を果たすべきである。避けるばかりでは問題は収束しない。

憲法が定める国民の三大義務の一つが納税だ。2月から確定申告の期間を迎える。政府・与党は、徴税をつかさどる国税庁のトップは、重要な公人である点を忘れてもらっては困る。
引用終わり
**************
記事へナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0


日中外相会談 「平行線」なのに改善とは(産経)

2018/01/31 19:53
20180130

産経新聞
2018.1.30 05:03更新
【主張】
日中外相会談 「平行線」なのに改善とは

(1/2ページ) .

日本国民は最近の中国をどうみているか。

尖閣諸島や邦人拘束などの問題で、中国が横暴に振る舞っているのを憂慮する人は多い。だからこそ、日中関係は冷え込んできたのである。

関係改善には、根本原因を取り除かなければならない。ところが、訪中した河野太郎外相と相対した王毅外相ら中国側は、態度を改めるそぶりさえ見せなかった。極めて残念である。

懸案は平行線のままなのに、日中関係は改善に向かっているとする政府の説明には、首をかしげる。首脳の相互往来といった形式を整えるだけでは、真の友好に結び付かない点を考えてほしい。

外相会談では、安倍晋三首相と習近平国家主席の相互往来の推進や、朝鮮半島非核化への連携で一致した。また、李克強首相との会談では、春ごろに日本での開催を目指す日中韓首脳会談について、出席に前向きな発言を得た。

首脳同士が顔を合わせ、率直に意見をかわす機会は必要だ。だが、最近の対中外交は、その実現へ融和ムードを醸し出すことに労力を注ぎすぎていないか。

日中平和友好条約締結40年の節目となるが、最近の両国関係は「平和」や「友好」とはほど遠い。外相会談では東シナ海を「平和・協力・友好の海」にするため努力することや、「互いに脅威にならない」精神を確認したというが、内実を伴うものなのか。

(2/2ページ) .
東シナ海に浮かぶ尖閣諸島は日本固有の領土である。河野氏は中国原潜が尖閣沖の接続水域に潜ったまま航行した事件に抗議し、再発防止を求めた。中国側から具体的な説明はなかったという。

中国が国際法を無視して人工島の軍事拠点化を進める南シナ海の問題についても、どれだけ話し合ったのかよくわからない。激しく応酬したなら、公表すればよい。食い違いを隠す配慮は有害無益である。

中国の新華社電によると、日本側が中国の経済圏構想「一帯一路」建設に参加し、第三国での協力を模索することに「積極的姿勢を表明した」という。「一帯一路」が中国による覇権追求の側面を持つ点を忘れてはならない。

王毅氏は、河野氏の訪中を関係改善に資するものとして「評価する」と語った。懸案を先送りしてしまう姿勢では、相手に「日本与(くみ)し易(やす)し」と思わせよう。
引用終わり
**************


朝日新聞
(社説)河野外相訪中 機運つかみ首脳往来を
2018年1月30日05時00分

河野外相が中国を訪問し、王毅(ワンイー)外相との会談で、日中首脳の往来を着実に進めていくことの重要性を確認した。

ことしは日中平和友好条約締結40周年の節目である。その年頭の外相訪中に、中国側は王氏のほか、李克強(リーコーチアン)首相と外交トップの楊潔チ(ヤンチエチー)国務委員がそれぞれ会談に応じた。関係改善への意思は日中双方にある。

懸案は多い。だからこそ、両国の政治指導者が頻繁に会い、じかに言葉を交わすことの重要さは論をまたない。

安倍首相は施政方針演説で、次のような道筋を提唱した。

日本での日中韓サミットに李首相を迎えた後、自ら訪中。習近平(シーチンピン)国家主席の来日につなげ、日中関係を新たな段階へと押し上げていく――。

この機運をつかみ、ぜひ実現につなげてほしい。

外相会談で河野氏は、習政権の経済圏構想「一帯一路」に対し、透明性や開放性、国際基準への合致など一定の条件をつけながら協力を約束した。

北朝鮮への対応では、国連安全保障理事会の制裁決議の履行徹底で一致した。海上で船から船に積み荷を移す密輸の対策についても意見を交わした。

一方で、中国の軍事力拡大や強引な海洋進出は、日本にとって、変わらぬ脅威だ。

尖閣諸島沖の日本の接続水域で中国軍の潜水艦が潜航した問題で、河野氏が再発防止を強く求めたのは当然である。

せっかく芽生えた関係改善の機運も、偶発的な衝突によって一瞬で崩れかねない。

日中間では2014年秋、尖閣について「対話と協議を通じて情勢の悪化を防ぐ」とした合意がある。防衛当局間の連絡体制「海空連絡メカニズム」の運用開始も急がねばならない。

注目したいのは、河野氏が外相会談でこう語ったことだ。

「日中は世界2位と3位の経済大国。アジアだけでなく、世界全体への責任もある。二国間の問題だけでなく、日中が肩を並べて地球規模の課題に対応していくことも大切だ」

日中が「ウィンウィン」の関係をめざす戦略的互恵関係からさらに視野を広げ、軍縮・核不拡散や気候変動、感染症対策などグローバルな課題でも連携の可能性を追求する。そんな考え方なら歓迎である。

日中関係は一進一退だ。利害が対立しても、決定的な衝突を避けつつ、少しずつでも協力の幅を広げる外交努力を重ねる。

その先にしか地域の平和と安定はないことを、日中の政治指導者は肝に銘じるべきである。
引用終わり
*************
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


続きを見る

トップへ

月別リンク

ANALIZER/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる